
Olive Oilについて
■バージン・オリーブオイル
エキストラバージンオリーブオイルとバージンオリーブオイル(以下、2つのオイルをバージンオリーブオイルとする)は、オリーブの果実ジュースで、粉砕機、撹拌機、デカンタ、もしくは遠心分離機のような物理的な工程のみにより採油されます。
バージンオリーブオイルの品質は、オリーブ実の品質とその採油工程によって決まります。オリーブ果実の品質は、オリーブ栽培において病気や害虫被害はもちろん、過剰な水分ストレスがなく、果実が健康な状態であること、そして、収穫のタイミングやその方法、果実の運送方法も獲得するオイルの品質に影響します。採油工程においては、採油技術はもちろん、採油所や採油機の清掃状態、温度、そしてその後の貯蔵方法やその管理状態、ボトリング、そして最終消費者の方々に届き消費されるまでの流れ全てが重要となります。
■オリーブオイルのカテゴリーについて
物理的な工程のみにより採油されたバージンオリーブオイルは、理化学検査と官能検査を通り、以下のようなカテゴリーに分類されます。(ヨーロッパ共同体にて定められているオリーブオイルのカテゴリー)
エキストラバージンオリーブオイル
バージンオリーブオイル
ランパンテオリーブオイル
精製オリーブオイル
精製オリーブオイルとバージンオリーブオイルから成るオリーブオイル
オリーブポマスオイル原油
精製オリーブポマスオイル
オリーブポマスオイル
“ランパンテオリーブオイル”、“精製オリーブオイル”、“オリーブポマスオイル原油”、“精製オリーブポマスオイル”の4つは、EUではそのまま販売することは禁止されています。
ランパンテオリーブオイルは、精製工場にて精製され、“精製オリーブオイル”となります。
“オリーブポマスオイル原油”は、精製すると“精製オリーブポマスオイル”になります。
その後、これら精製オイルは、バージンオリーブオイル(エキストラバージンオリーブオイル、もしくは、バージンオリーブオイル)を混合させ、“オリーブオイル”、そして“オリーブポマスオイル”という製品名にて市場に出されます。
つまり、市場にて販売されているオリーブオイルは、
エキストラバージンオリーブオイル
バージンオリーブオイル
オリーブオイル
オリーブポマスオイル
の4つとなります。
ポマスとは、採油時に産出された二次産品である、オリーブ実残渣や果実水などを差します。
■官能検査について
バージンオリーブオイルは、官能検査である欠陥の中央値とオリーブ果実のフルーティー度の中央値によって、以下のようなカテゴリーに分類されます。
早熟または成熟した健康で新鮮なオリーブ実の品種に応じ、直接および/またはレトロナザールで知覚されるオイルの特徴的嗅覚の全体。
A) エキストラバージンオリーブオイル:欠陥の中央値は、0で、オリーブ果実のフルーティー度の中央値は0を越える。
B) バージンオリーブオイル:欠陥の中央値は、0を超え、3.5以下で、オリーブ果実のフルーティー度の中央値は、0を越える。
C) ランパンテオリーブオイル:欠陥の中央値は、0を超え、3.5以下、もしくは3.5を超え、オリーブ果実のフルーティー度の中央値は、0。
*数値は0から10まで
■テイスティングの方法
規準化されているテイスティング用の青色/赤色のグラスに、15mlのオイルを 注ぐ。
そして、時計皿と呼ばれる透明なガラスの蓋をし、手のひらにてグラスを傾けながら少しずつ回し温める。
グラスの温度が28度くらいになるのが理想で、その温度になるとオイル自身が持つアロマが感知しやすい。
そして、時計皿をはずし、短めににおいを嗅ぎ、上がってくるにおいを感知してみる。
オイルの第一印象を感じる。
2度目は、もう少しよく嗅ぐようにし、オイルのフルーティー強度は、どのくらいか、そしてどのような タイプか(早熟実 or 成熟実)、嫌なにおい、不思議なにおいはしないか(欠陥)を確認する。
その次に、少量のオイルを口に含む。
その後、少々の息を吸いながら、オイルが 口腔のすみずみにまで行き渡るようにする。それにより、さまざまな味を感知することができ、また、フルーティー、苦味と辛味の強度、そして 収穫時の実の状態(早熟か成熟)を評価することができる。
■テイスティングにおける専門用語
プラス属性
フルーティー:早熟または成熟した健康で新鮮なオリーブ実の品種に応じ、直接および/またはレトロナザールで知覚されるオイルの特徴的嗅覚の全体。
早熟フルーティー:においが早熟実のオイルの特徴である早熟の実を彷彿させる場合。
成熟フルーティー:においが成熟実と早熟実のオイルの特徴である成熟の実を彷彿させる場合。
フルーティー強度
“インテンス” :オイルのフルーティー中央値が6より大きい場合。
“ミディアム” :オイルのフルーティー中央値が3から6の場合。
“ライト”:オイルのフルーティー中央値が3未満の場合。
苦味と辛味
苦味:早熟オリーブ実またはエンベロ(色が変わり始めている状態)オリーブ実から採油されるオイルの特徴的主要味。舌の上のV型の有郭乳頭で感知する。
辛味:触感的でぴりぴりと感じる。収穫が始まったばかりの時の主に早熟オリーブ実を採油したオイルの特徴。それは口腔全体、そして特に喉にて知覚される。
“バランスのとれた”オイル:アンバランスではないオイルに使用し、アンバランスとは、苦味および/または辛味の中央値がフルーティーの中央値よりも2ポイント高い場合。
“マイルド”なオイル:苦味と辛味の両中央値が2以下のオイル。
マイナス属性
嫌気性発酵/泥状沈殿物:嫌気性発酵の進行段階に達するような、オリーブオイルの実を収穫後すぐに搾油せず、積み上げられた、または保管されたオリーブ実から得られたオイルの特徴的風味。または、地下のタンクや貯蔵庫に沈殿した堆積物と接触したままにされ嫌気性発酵のプロセスを経たオイルの特徴的風味。
カビ―湿気:数日間湿気を帯びた状態で積まれ、カビや酵母が大量発生したオリーブ実から得られるオイルの特徴的風味。
土:土や泥だらけの実を洗浄せずに採油したオイルの風味。
ワイン―ビネガー/酸-酢:ワインや酢を彷彿させる特徴的オイルのフレーバー。このフレーバーは主に、適切に清掃されていないプレスマットに残った実、もしくはオリーブペーストの好気性発酵によるもので、酢酸、酢酸エチル、エタノールの生成につながる。
酸敗:強い酸化過程を経たオイルのフレーバー。
霜害オリーブ果実(湿った木):木に成った状態で凍結工程を経た実から採油されたオイルの特徴的風味。
加熱もしくは焦げ:採油工程中の過度および/または長時間の加熱によって引き起こされるオイルの特徴的風味で、特にペースト攪拌中、不適切な熱条件で実行された場合に発生する。
干し草/木:乾燥した実から採油したオイルの特徴的風味。
古いオイル:古いオイルによって生成されたまったりとしたペースト状の口当たりが特徴。
グリース:ディーゼル、潤滑油、鉱油を彷彿とさせる風味。
植物性水分:オイルが発酵した果汁水との長時間の接触による風味。
塩水:塩水に保存されたオリーブ実から採油されたオイル風味。
金属:金属を彷彿とさせる風味。これは、粉砕、攪拌、プレス、または保管の過程で、金属と長期間接触した際のオイル特徴。
圧搾マット:新しいエスパルト(イネ科の多年草)マットで圧搾された実から搾油されるオイルの特徴的風味。マットがグリーンエスパルトで作られている場合とドライエスパルトで作られている場合は、味が異なる場合がある。
虫害:オリーブミバエの幼虫(Bactrocera Oleae)に強く攻撃された実から採油されるオイルの特徴的風味。
きゅうり(長期密封保存):2.6-ノナジエナールの形成に起因し、特に密閉容器、特に缶に長期間保持されたオイルの風味。
■公式オリーブオイル・テイスティングパネルについて
バージンオリーブオイルのテイスティングパネルは、オリーブオイルとオリーブポマスオイルの特性と分析方法に関する規則(EEC)No. 2568/91の規定に従い、Centro de Investigación y Control de la Calidad (CICC)(研究品質管理センター)で分析するエキストラバージンオリーブオイルとバージンオリーブオイルのサンプルの官能分析を行います。
研究品質管理センターのスタッフの中から選ばれ、訓練を受けたテイスターによって構成されるこのグループは、欧州委員会から公式管理を行う権限を与えられており、IOC国際オリーブ理事会によって承認され、UNE-EN-ISO/IEC 17025:2017規格の認定を受けています。
研究品質管理センターのテイスティング・パネルは、IOC国際オリーブ理事会、スペイン産オリーブオイル専門職連携非営利団体、その他スペイン政府機関やその他の国々の政府機関、そして国際的オリーブオイルコンクールのテイスティングや、新たなテイスティングパネルの形成、トレーニングにおいて、技術的なサポートを提供している。研究品質管理センターは、IOC国際オリーブ理事会の官能分析専門家グループのメンバーでもあります。
■オリーブオイルの酸度
オリーブオイルに含まれるオレイン酸における数値で、オレイン酸の遊離脂肪酸の量となります。それは、加水分解による、オイル内のトリアシルグリセロール(中性脂肪の一種)の変化の量となります。酸度は、バージンオリーブオイルのレベルでは、官能的(味とにおい)には感知できません。
バージンオリーブオイルは、オリーブ実のジュースであることより、採油後から品質の劣化工程が開始します。劣化は、主に、オリーブ品種が影響しますが、栽培方法(土壌、剪定、灌漑、肥料、日照時間、雨量など)、収穫時期(実の成熟度)や採油方法はもちろん、採油後の保存方法によっても、オレイン酸とポリフェノールの含有量に影響を与え、それによって、劣化の工程と時間に影響を及ぼします。